数年前から山梨県内のモモ主要産地においてアリによる果実被害が見られ問題となっているが,アリの加害種や被害状況は不明である。これらを明らかにするため,被害果実からアリを採取して同定するとともに,被害状況を観察した。その結果,モモ果実を加害するアリはクロオオアリ(Camponotus japonicus)の職蟻であった。本種による果実表面の加害部は円形の食害痕となり,内部はトンネル状となる。被害が進展すると種子付近まで達することもある。一部,裂果等に発生する二次的被害もあるが,大半は外観上健全と思われる果実を加害していた。被害果実の状況から,加害時期は着色期から収穫期頃であった。薬剤試験では,ダイアジノン水和剤の殺虫活性が高く,ビフェントリン水和剤,アクリナトリン水和剤の効果はやや低いが認められた。一方でクロラントラニリプロール水和剤,スピノサド水和剤の殺虫活性は低く認められなかった。