水田,水路,河川において,スクミリンゴガイ密度とその卵塊密度を調査し,それらと環境要因の評価として用いた水深,流速,化学的酸素要求量,貝の捕食者相との相関関係を調べた。平均貝密度は各棲息地間でそれぞれ水田3.72±1.31,水路2.12±0.90,河川3.20±1.85頭/m2であったが,有意な差は検出されなかった。卵密度は1.84±0.40,0.72±0.24,0.39±0.19個/m2であり,棲息地問での差は有意であった。この貝の生存に影響を及ぼす環境要因として,水深(負の相関,40cm以深での生存の困難)及び流速(50cm/sec以上での生存の困難),COD(正の相関)が示された。高いCOD値は水質の劣化を示すものであり,貝の密度は水質の劣化により高められることが示唆された。捕食者相については,その影響は明確ではなかった。