九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2021
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回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中患者の転倒リスクグループごとの転倒要因の調査
*本多 隆治
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p. 138

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抄録

【背景・目的】

回復期リハビリテーション病棟(以下, 回復期リハ病棟)では, 患者のADL 自立を支援しつつ転倒を予防していく必要がある. 当院では回復期リハビリテーション病棟協会の転倒リスクアセスメントシートを用いて入院患者の転倒ハイリスク者のスクリーニングを行っている.本研究の目的は, 回復期リハ病棟に入院した脳卒中患者における転倒アセスメントシートのリスクグループ( リスク1・2・3) ごとの転倒者の特徴や転倒要因を入院時のADL や転倒状況から明らかにすることである.

【方法】

対象は2020 年に当院回復期リハ病棟へ入院し退院した脳卒中患者のうち,1か月以上入院した患者213 名. 調査項目は基本情報(年齢・性別・主疾患・発症日・当院入院日), 入院時FIM(運動項目・認知項目)の合計点, 入院時転倒リスクアセスメントシートのリスク, 転倒状況( 転倒日・転倒場所・転倒時間・転倒時の自立度) とした.初めにリスクグループ内で転倒・非転倒者の群間比較を行った. また, リスクグループ間で転倒状況の調査を行った. 次に入院から初回転倒までの日数を用いて生存分析を行った. 統計はEZR を使用し, 有意水準は5%とした.

【結果】

転倒は93 件発生しており, 転倒者は56 名(26.8%)であった. リスク1 は35 名中2 名(6%), リスク2 は77 名中17 名(22%), リスク3 は101 名中37 名(37%)が転倒していた. また, リスク3 は転倒者のうち, 複数回転倒者の割合が35%と他リスクグループと比較し有意に多かった. リスクグループ内で, 転倒者と非転倒者について基本情報の比較を行ったが, いずれの項目にも有意差は見られなかった. 転倒状況について, リスクグループ間で比較を行ったところ, リスク2 では自立後の転倒の割合が有意に多かった. 転倒時間や転倒場所では有意な差はみられなかった. 生存分析ではリスク間に有意な差がみられ, 入院30 日目の時点でリスク2 は10% , リスク3 は18%が転倒を経験していた.

【考察】

回復期リハ病棟に入院した脳卒中患者のうち,26.8%は転倒を経験している. リスクが増加するにつれ, 転倒者の割合は増加しており, 転倒リスクアセスメントシートを用いることで, 転倒ハイリスク者のスクリーニングが可能と考える. 今回調査した項目では, リスクグループごとの転倒者の特徴は有意な差がみられなかった. 心身機能や能力の評価項目を含めなかったことが要因と考える. 転倒状況においては, リスク3 ではより早期に転倒していることは先行研究と同様の結果であったが, リスク2 では自立後の転倒が多く発生している可能性が示唆された. リスク3 ではより早期から, リスク2 においては自立判定を行う際, 心身機能や能力についてより詳細に評価を行う必要がある. そのような評価を基に転倒リスクについて提言し, 転倒予防策に繋げていくことがPT の重要な役割と考える. 今後, 転倒に関連する心身機能や能力等の調査項目を追加し, 転倒者の特徴を明らかにしていく.

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究はヘルシンキ宣言および「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従って計画し、長崎リハビリテーション病院倫理審査委員会の承認を得た(承認番号R3-08). 本研究はオプトアウト形式を採用し, 研究対象者および代理人が拒否する十分な機会を保障することによって倫理性を担保した.

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© 2021 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
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