九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2021
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運動器疾患の跛行に対するSplit-Belt トレッドミルの介入効果
*坂上 愛*野中 祐樹*藤井 廉*田中 慎一郎*大仁田 彩
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p. 68

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抄録

【目的】

Split-belt トレッドミルとは,左右のベルト速度を分離して制御可能なトレッドミルのことである.左右非対称な歩行課題の潜在的な適応反応を利用することで,脳卒中片麻痺患者の歩幅や立脚時間の左右差を減少させることが明らかとされている.一方,疼痛は運動の学習過程に影響を及ぼすことから,我々は本機器について,運動器疾患患者の疼痛による逃避性跛行に対しても有用な介入手段になると考えている.そこで本研究では,BAB デザインを用いて逃避性跛行を有す運動器疾患患者に対する Split-belt トレッドミルの効果を調べたためここに報告する.

【症例紹介】

70 歳代女性.診断名は両側足関節外果骨折,左踵骨骨折,左第2・3・4 中足骨骨折.交通外傷にて急性期病院へ救急搬送され,第9 病日目に当院へ転院となる.受傷前ADL は自立.第29 病日目から1/4 荷重を開始し,第57 病日目で全荷重可能となる.第60 病日目の時点において,独歩での歩行が可能となったが,歩行時の左下肢の立脚期(Initial contact 〜 Terminal stance)にNRS4 の疼痛を認め,右下肢と比較して立脚期時間が短縮していた.

【介入方法】

本研究は,シングルケースデザインによる BAB デザインを採用し,B 期とB2期はSplit-belt トレッドミル訓練を,A 期は通常のトレッドミル訓練を実施した.介入期間は各々5 日間とした.介入について,通常のトレッドミル訓練では,ベルト速度を快適歩行速度に設定した.一方,Split-belt トレッドミル訓練では,はじめに快適歩行速度で歩行を開始し,左下肢のベルト速度を徐々に減速させ,速度比を増大した.速度比の変化を知覚したら合図するように教示し,知覚閾値での速度比条件でトレッドミル歩行を行った.いずれの介入も5 分間を2 セット実施した.尚,歩行解析は三次元動作解析装置(KISSEICOMTEC社製)を用いた.歩行解析項目として,左下肢の立脚期時間を算出した.尚,介入前,B 期後,A 期後,B2 期後に計測を実施した.各期における立脚期時間の比較について,Friedman 検定を行った後,事後検定にはWilcoxon-signedrank test を用い,Bonferroni method で補正した.

【結果】

介入前と比較してB 期後に,A 期後と比較してB2 期後に有意な立脚期時間の延長を認めた(P

【倫理的配慮,説明と同意】

ヘルシンキ宣言に基づき、対象者には十分な説明を口頭で行い、同意を得た.

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© 2021 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
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