九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2021
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慢性疼痛を有した要介護高齢者に対する訪問リハビリテーションの効果の検討
痛みの認知・情動面,生活空間,QOL の結果から
*百合野 大輝*田中 陽理*松原 篤*徳永 嵩栄*片岡 英樹*山下 潤一郎
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p. 82

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抄録

【はじめに】

要介護高齢者に対する訪問リハビリテーション(訪問リハ)では,心身機能の低下や活動・参加の制限に対し,対象者の居住場所やその周辺地域といった生活場面において直接介入できることが特徴として挙げられる.一方,高齢者の慢性疼痛は,運動機能や認知精神機能の低下,ADL 能力や身体活動量の低下など,生活機能全般に影響を及ぼすことが報告されている.訪問リハの対象者においても慢性疼痛は高頻度に認められ,その対策は非常に重要であるが,慢性疼痛を有した要介護高齢者に対する訪問リハの効果を検証した報告は非常に少ない.そこで,われわれは慢性疼痛を有した要介護高齢者に対する一般的な訪問リハの効果について縦断的に検討し,痛みの程度や運動機能,ならびにADL に対する改善効果を明らかにした(田中陽理・他:PAIN REHABILIATION11,2021).しかし,痛みの認知・情動面,生活空間,QOL に対する訪問リハの有効性については未検討であった.そこで,今回,慢性疼痛を有した要介護高齢者に対する現状の訪問リハの有効性や限界に関する基礎データを得ることを目的に,痛みの程度,痛みの認知・情動面,生活空間,QOL に対する効果を検討した.

【対象と方法】

対象は当院の訪問リハ利用者のうち,訪問リハ開始時(BL)にNRS3 以上の痛みが3 カ月以上持続していた要介護高齢者20 名(平均年齢86.2 ± 6.1 歳,男性4 名,女性16 名)とした.評価項目は,痛みの程度はNRS,痛みに伴う運動恐怖はTSK-11,痛みに対する破局的思考はPCS,生活空間はLSA,QOLはEQ-5D を用いて,BL と3 カ月後に評価を行った.また,訪問リハは1 ~ 2回/週の頻度とし,パンフレットを使用し痛みと身体活動に関する説明を行った上で,積極的な身体活動を促すことに主眼を置いた訪問リハを進め,家族には移動時の介助方法の指導を行い,外出を促した.分析はBL と3 カ月の各評価項目を比較し,効果量r も算出した.なお,統計学的有意水準は5%未満とした.

【結果】

NRS(BL:6.9 ± 2.0,3カ月:4.4 ± 2.8,r=0.58),TSK-11(BL:27.8 ± 7.5点,3カ月:25.0 ± 8.3 点,r=0.54),LSA 合計(BL:18.9 ± 7.0 点,3カ月:25.6 ± 10.9 点,r=0.64),LSA 下位項目の自宅近隣への移動(BL:3.6 ± 1.8点,3カ月:6.7 ± 4.8 点,r=0.55),町内への移動(BL:4.2 ± 2.4 点,3カ月:5.8 ± 3.0 点,r=0.57),EQ-5D の効用値(BL:0.511 ± 0.180,3カ月:0.610± 0.113,r=0.52)においてBL に比べ3カ月後では効果量で中程度の有意な改善を認めた.一方で,PCS はBL と3カ月後の間に有意な変化を認めなかった.

【結論】

今回の結果から,慢性疼痛を有する要介護高齢者に対する訪問リハは痛みの軽減のみならず,生活空間の拡大や運動恐怖・QOL の改善をもたらすことが示唆された.[Y1] 学術キーワードでは「身体機能」ではなく「運動機能」となっているようなのでこちらで統一させていただきます。

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究は当院の臨床研究倫理審査委員会によって承認を得た後に,同意の得られた者を対象に行った.

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© 2021 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
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