九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2023
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一般演題9[ スポーツ・健康① ]
膝関節スポーツ障害を呈したサッカー選手のキック動作について ―フォームチェックシートを用いて―
O-051 スポーツ・健康①
平野 琳太郎牧 健一郎大場 俊二
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p. 51-

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抄録

【はじめに】 サッカーのキック動作における各相ごとの不良動作は、スポーツ障害を引き起こす要因の一つである。当院では、成長期サッカー選手が多く受診しているため、今回フォームチェックシートを用いてどのような不良動作が見られるかを、今後の治療や統合と解釈の一助とすることを目的に調査した。

【対象と方法】 2023年4月から2023年8月までの期間に当院を受診し、膝関節スポーツ障害と診断された、13~15歳のサッカー選手を対象とした。方法は、ゴールを模した壁から約11mの位置にあるペナルティスポットにボールを置き、壁に向かってシュート性のキックをする様子を、矢状面及び前額面方向より動画撮影した。その後、広瀬らの報告を参考に作成したフォームチェックシートを用いて、各相ごとの不良動作のチェック及び選手への説明を行った。

【結果及び考察】 テイクバック~インパクト相においての後方重心により、軸足の大腿直筋の過度な遠心性収縮が起こることで、膝蓋腱や脛骨粗面にメカニカルストレスが加わり、膝蓋腱炎やオスグッドシュラッター病を引き起こすと考える。また、対側上肢の不使用により予備伸張が失われ、代償動作として蹴り足の膝関節伸展運動が増大し、膝伸展機構へストレスが加わると考える。

 これらの影響を踏まえると、患者本人が自身のフォームをチェックし、客観的に不良動作を確認することは重要である。また、問題点が視覚化されることで、実施される治療プログラムへの理解や意欲の向上、モチベーションを保った治療の進行が期待出来る。

 しかしながらも、我々が第一に介入すべき点は筋力や関節可動域等の身体機能面であり、それらの改善によって不良動作が解消され、症状の改善に繋がることが目標である。治療を行う上で、あくまでも1つのツールであることを念頭に今後も使用していき、サッカーにおけるスポーツ障害の治療及び防止に繋がることを期待する。

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© 2023 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
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