抄録
私は過去に痴呆の方を在宅介護する主介護者を対象として、CMI健康調査表(心身両面にわたる自覚症の調査)を用いたアンケート調査を実施したことがある。そのアンケート調査では主介護者の続柄が妻や兄弟である場合の身体的・精神的自覚症の値は、他の続柄が主介護者の場合より有意に高く、不健康性が疑われた。また、夫・息子が主介護者である場合の身体的・精神的自覚症は低い傾向にあった。その調査の中で印象的であったことは、主介護者の続柄が夫である場合は、重度痴呆の妻を介護しているにもかかわらず、身体的・精神的自覚症の値が低いという結果であった。そして、この結果は、臨床場面で私が漠然と感じていた、夫の特徴に類似していた。夫以外の続柄でも、重度痴呆の方を長期に渡り介護している家族はいたが、夫の介護は、熱心に介護するか又はほとんど介護しないかという2つに分かれる印象があり、他の続柄とは違ってみえた。主介護者として介護を引き受けた夫は、しだいに重症化していく妻を介護する過程において、何を考え、また何を感じながら介護を続けているのかという点に興味を持つようになった。そしてそれらを探求することは、今後出会う夫の介護者に対する家族支援に役立つと考えた。