九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 31
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自己導尿法の獲得に向けての試み
~外出先での自己導尿とその意識付けから関連動作の修得に向けて~
*宮川 真理原 寛道
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キーワード: 自己導尿, 自己意識, 支援
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抄録

【はじめに】
 周囲の環境の影響で、本人の希望する高等部卒業後の社会生活に不可欠な自己導尿法の獲得への意識を築く機会の乏しかった症例に対してアプローチし意識付けに成功した症例を報告する。
【症例紹介】
 16歳、女性。診断名は二分脊椎症、水頭症。両下肢、左上肢にマヒ。左前腕回内制限あり。両側のピンチ力は弱く、巧緻性は低い。移動手段は車椅子自立、椅子等への移乗自立、平行棒内歩行軽介助。内向的な性格。排泄は、間欠的自己導尿法である。履くオムツを併用している。
【排泄の状況】
中学時代に床や台上での自己導尿法を獲得した。自宅と学校での排泄は同法で実施できている。しかし外出先では必ず両親の介助で導尿をしてもらっている。 高等部卒業を前にして就業体験をした際に外出先では一人で排泄しなければならない場面に初めて遭遇した。
【本人の意識】
本人の訴えによれば、便器での坐位が不安定なためカテーテルを便器内へ落としそうであるという不安がある。そのため便座座位での自己導尿は困難と感じていた。こうした不安を抱く反面、社会に出れば何とかなるだろうという楽観的な思いがあり、是非自立したいという思いは無かった。
【経過・考察】
症例は、大学進学か就職を検討しており、そうなれば、公共施設を一人で利用する機会が増えることが考えられる。しかし、症例は一人での外出困難な現状に何の違和感も持っていなかった。問診より、今まで周囲の協力が当たり前の環境で育った背景が見えてきた。この様な環境で育つと外出先での自己導尿の必要性について真剣に考える必要がなかったのだろう。この事が、一人での外出を困難にしている一要因となっていた。そこで、外出先での自己導尿の必要性について具体例を出し、本人の現状を知ってもらう提案を試みた。結果、社会で一人生活している様々な場面を具体的に想像でき、症例自身が自己導尿自立の必要性に気づいた。そして、自己意識の変化が見られ始めた。 症例は“出来ない”先入観が強かったが、実践すると便座座位での自己導尿が可能となり、先入観が解消した。動作を繰り返す事で、自身の身体機能に気づく機会になったと考えられた。 その後、トイレ動作練習の中で便器から尿が漏れる、立位での下衣着脱困難という問題点も出現した。学校と本人と生活相談員を交え話し合った結果、学校では配置看護師が自己導尿の練習を、下衣着脱は当院の理学療法士が訓練していく事になった。こうして自ら外出先でトイレでの自己導尿に挑戦する等の意欲の向上が見られた。 訓練を実施する中で下衣を履く動作がなぜ難しいかを本人と一緒に分析した。それは、後方の下衣を履く動作に必要な肩関節伸展内旋のactiveの可動域に制限がある為と判明した。この様に自己導尿法の練習と下衣履きの練習を繰り返すことで、アプローチの内容がより具体化され本人の意識を高めることができた。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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