九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
Online ISSN : 2423-8899
Print ISSN : 0915-2032
ISSN-L : 0915-2032
第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 174
会議情報

当院の入院患者における作業療法士の役割
*山下 憲二菊永 直子井手 朝美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】
 平成18年4月の診療報酬改定により疾患別リハビリテーションに変わり,大腿骨頚部骨折(以下FNF)をはじめ,多くの下肢・体幹疾患への作業療法(以下OT)介入が報告されている.
 当院では,FNF・脊椎圧迫骨折での入院患者が多く,全入院患者との比率として,平成21年は247/958名(26%)と1/4を占めている.しかし,両疾患に対し,作業療法士(以下OTR)の早期からの介入が10%と少ない現状である.これらの現状を検討し,早期介入する必要性について考える.
【対象】
 平成21年1月~12月までに入院した『FNF』、『脊椎圧迫骨折』の患者247名,平均年齢79歳である.
【方法】
1)FNFにOTRが入院7日以内の介入(以下A群),
  入院7日以降(以下B群),RPTのみ(以下C群)
2)圧迫骨折にOTRが入院7日以内の介入(以下D群)
  入院7日以降(以下E群),RPTのみ(以下F群)
  以上について(1)在院日数,(2)入院・退院時のFIM・BIの比較検討を行った.
【結果】              (小数点以下四捨五入)
1)A群(1)58日(2),FIM入院36点・退院65点,
              BI入院16点・退院51点
  B群(1)78日,(2)FIM入院59点・退院89点,
              BI入院30点・退院70点
  C群(1)59日(2)FIM入院69点・退院95点,
              BI入院39点・退院73点
2)D群(1)52日,(2)FIM入院49点・退院90点,
              BI入院35点・退院72点
  E群(1)66日,(2)FIM入院60点・退院102点,
              BI入院26点・退院80点
  F群(1)52日,(2)FIM入院70点・退院100点,
              BI入院42点・退院83点
【考察】
 今回の調査ではOTRの早期介入が在院日数・ADLの改善度に影響を与えていることが分かった. B・E群への対応として,認知症との関係もあり,今後入院時FIM・BIでの介入基準の検討が課題である.
【まとめ】
 当院でのOTRの役割は下肢・体幹疾患に対するADL介入,ハンドセラピィである.今後OTRの早期介入を拡大していくために,整形外科領域の知識や技術を高めることも重要であると考える.
著者関連情報
© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
前の記事 次の記事
feedback
Top