九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第33回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 116
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訪問リハビリテーション充実に向けて
~ケアマネの視点より~
*米倉 裕樹石掛 陽介太田 直吉
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抄録
【はじめに】
 訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)の重要性も認識され、需要も年々高まってきている。今回、法人で訪問リハを拡張して行く上で何が必要であるかを検討した。しかし、その為にはケアマネジャー(以下、ケアマネ)が訪問リハをどのように捉え、利用しているか。また求められているものは何か。これらを把握する必要があった。アンケートを行い、新たに知り得た部分があったので報告する。
【対象と方法】
 現在、当施設の訪問リハを実施している利用者の担当ケアマネ14事業所21名を対象とする。質問内容は 1「依頼する事業所の条件」 2「依頼の目的」 3「訪問リハ依頼に至っていない理由」 4「訪問リハ長期利用の是非」 5「ケアプランと訪問リハの適正」 6「効果判定」 7「かかりつけ医とケアマネとの連携」 8「苦情や相談内容」とした。各質問に対して考えられる回答を用意し選択(複数回答)形式にした。選択以外の回答は記述式とした。
【説明と同意】
 各事業所のケアマネに対し、アンケートの目的を説明し同意の上で実施。
【結果】
 質問1「情報交換しやすい:95%、質の良いリハビリ:90%、信頼できる:76%」 2「身体能力維持・向上:95%、生活能力向上・維持:80%、廃用予防:71%、精神的サポート:57%、通所サービスへのきっかけ:48%」 3「利用者や家族が希望せず:81%」 4「寝たきり・外出困難・対人交流困難の方や機能維持の為に長期利用は必要:100%」 5「できている:85%」 6「効果あり・やや効果あり:90%」 7「書類のみでかかりつけ医の返事がない場合もある:58%、面談不可:25%」 8「なし」 主な回答だけを記載
【考察】
 ケアマネはケアプランに添った訪問リハが適正に実施され、効果があるという評価である。またケアマネとの関係作りは、随時行う電話連絡や書面上の報告に加えて定期的な担当者会議などで綿密な情報交換を行ってなじみの関係を構築していくことが大切だと分かった。
 ケアマネとかかりつけ医の連携は病院形態によって異なる。情報交換の手段として書類のみで行う所や医師との面談が困難で電話連絡も時間限定や看護師を介することが多い。よって、かかりつけ医からの情報が反映されにくいケアプランになる可能性もある。地域連携の重要性が示されている中、訪問リハは利用者へのサービス提供だけでなくかかりつけ医との関係つくりもケアマネから求められている。
 リハビリテーションは「必要な時期に必要な期間を定めてリハビリテーションの提供を行うことが重要である」とされている。しかし、ケアマネは、社会参加へのきっかけや身体機能の維持や精神的サポートを継続するには長期訪問リハも必要だと思っていることも分かった。
 アンケートにより知り得たケアマネの思いを踏まえて、今後さらに充実させていきたいと思っている。
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© 2011 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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