2021 年 37 巻 2 号 p. 20-35
2020年4月に、ラテンアメリカでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による政治・社会的影響について報告書を出したブロフィールド(Merike Blofield)らによれば、COVID-19の厄災は、どの指導者がいかなるリーダーシップを発揮して国民から協力を引き出し、危機を打開しうるかという「政治的リーダーシップの試金石」だという。本稿ではグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルの中米・北部三角地帯諸国(NTCs)におけるCOVID-19の感染状況について概観し、非常事態宣言を軸とした各国の政策対応について確認する。その後、今やCOVID-19拡大の第2波ないし第3波に直面する世界で、改めて求められている為政者による巧妙なリーダーシップという観点から、北部三カ国のCOVID-19下での政治状況について論じる。