2022 年 38 巻 2 号 p. 61-72
ジェンダー・クオータの一種である法律型候補者クオータがラテンアメリカに導入されて久しいが、2000~10年代にみられた後発国による導入と以前からの導入国による改革の動き、また、2000年代終わり頃からみられ始めているパリティ(男女同数)をめざす動きは、実際の女性議員の比率にどのような影響を与えているのであろうか。この問いについて考察するため、本稿ではラテンアメリカにおける法律型候補者クオータと女性下院議員比率との関係、ならびに、女性閣僚比率と女性下院議員比率との関係を中心に検討した。そして、パリティをめざすべくクオータを引き上げた場合や候補者擁立・順位規定を厳格にしている場合には、従来は同規定の適用が難しいとされてきた非拘束名簿式比例代表制や小選挙区比例代表並立制・併用制を採用している国でも女性下院議員の比率が高まることと、国によっては議会で政治経験を積んだ女性政治家が閣僚に就任するという新たなパターンが生まれてきていることを指摘した。