日本LCA学会誌
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解説
サステイナビリティ学から覗く消費行動とライフスタイル研究
天沢 逸里
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2017 年 13 巻 4 号 p. 370-377

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抄録

本稿では、サステイナビリティ学における人間の消費行動とライフスタイルに関する論文をレビューし、研究の特徴を抽出・解析した結果を総括する。持続可能な社会の構築のための生産と消費パターンの転換は、長らく国際会議の場で議論されてきたが、講じられた方策は技術開発による生産の効率化に着目したものであった。消費側への働きかけが急がれるなか、近年サステイナビリティ学において消費行動とライフスタイルに関する研究が活発になっている。サステイナビリティ学という学際的な学問がどのように消費行動とライフスタイルの問題にアプローチしているのかを調査するため、サステイナビリティ学主要雑誌において文献レビューを行った。その結果、3つの研究クラスター (Consumer behavior, Intervention, and Method and framework) を検出した。消費行動と環境影響の因果関係の究明に関する論文が大半を占め、経済と社会への影響を考慮した論文はごくわずかであった。サステイナビリティ学の特徴を生かす、Well-beingといった社会経済的側面も統合した研究の発展が望まれる。

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© 2017 日本LCA学会
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