本研究は、タイ、ベトナム、日本で家電製品 4 品目(エアコン・洗濯機・冷蔵庫・テレビ)の素材リサイクルによるTMR(関与物質総量:Total Material Requirement)削減ポテンシャル量を推算し、その潜在的効果を評価した。TMR 削減量は、製品を1次資源から生産した場合と、2次資源で生産した場合のTMRの差分を意味し、これを推算することで、素材リサイクルの有効性を定量的に示すことができる。分析の結果、各国の年間家電需要量を全て再生資源由来にした場合、タイで 8.5×106 t-TMR、ベトナムで 10.6×106 t-TMR、日本で 43×106 t-TMRのTMR削減ポテンシャル量があることが示された。また、3ヵ国とも、エアコンのリサイクル、銅のリサイクルによるTMR削減効果が高いことが示唆された。これらの結果から、タイ・ベトナムで家電リサイクルの向上を図ること、特に、エアコンと銅の適切な回収・処理が喫緊の課題であることがわかった