日本LCA学会誌
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東京2020大会における気候変動対策とカーボンフットプリント
内田 裕之
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2020 年 16 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

2018 年 6 月、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のための「持続可能性に配慮した運営計画」第二版(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、2018)が公開され、大会の温室効果ガス排出量の予測とこれに基づく具体的な削減対策が示された。2019 年 3 月には「持続可能性進捗状況報告書」(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、2019)が公開されており、大会における気候変動への対策が整理されるとともに、対策の進捗状況が公に報告されている。そして、この対策の中で、カーボンフットプリントによる CO2 排出量の見える化が重要な位置づけとなっている。オリンピック・パラリンピック競技大会は、言うまでもなく、国際的に最も大規模かつ世界中の注目を集めるイベントの一つである。そのため大会における気候変動対策は、今後のイベントにおける気候変動対策の参考となる。その対策の中でカーボンフットプリントによるライフサイクル視点の CO2 排出量見える化が重要な位置づけとなっていることは、LCA 手法の今後の活用において注目すべき事例である。本解説では、公開されている報告書の内容をもとに、大会の対策内容、カーボンフットプリントの位置づけを整理した。

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