2021 年 17 巻 3 号 p. 167-173
2050 年までの脱炭素化目標を達成するには、最先端な要素技術の早期導入と普及に力を尽くさなければならない。しかし、期待されている多くの要素技術はまだ開発中であり、その実用化が見込まれても、実装においてはその脱炭素化効果に不確実性がある。そのため、これらの有望な要素技術に対して、大規模な導入の前に技術の経済性・環境性に関する早期の技術アセスメントを行い、技術開発の熟度、技術の変化、スケールアップ等の技術特性を考慮した上で、不確実性を抑えながら技術普及へのロードマップを策定すべきである。近年では、技術の将来性を配慮したプロスペクティブライフサイクルアセスメント(Prospective Life Cycle Assessment)を用いた事例研究が増え、開発中の技術に対する環境影響を予測することを目指している。本稿では、これらの既往研究を調査する上で、プロスペクティブ LCA 手法の内容と課題をまとめ、新興技術の地域への社会実装の視点から技術評価の在り方と期待について論じる。