2022 年 18 巻 2 号 p. 83-90
日本のようにモノが溢れる先進国では、シェアリングエコノミーは遊休資産を有効活用する機会として捉えられているが、所得水準が大きく変化を続ける新興国では、所有率の低いモノに対してシェアリングを定着させることにより、循環型社会を形成する可能性を秘める。現状で様々なシェアリングビジネスが導入され、今後所得水準が変化するなかで、どんなシェアリングサービスがアジア新興国に定着する傾向が高いかは明らかになっていない。本稿では、アジア新興国におけるシェアリングエコノミーの動向と研究事例を概観した上で、シェアリングが定着することによる持続可能な消費に向けた機会を探る。研究事例では、カーシェアリングと家庭洗濯のシェアリング(コインランドリーと洗濯代行)に着目し、環境負荷削減要因とともに利用に関わる動機や障壁を整理した。