日本LCA学会誌
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セメント産業のプラスチックエネルギー回収による脱炭素効果
杉澤 建明戸 剛
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2023 年 19 巻 3 号 p. 127-134

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抄録

セメント産業は多くの廃棄物・副産物を活用しており、中でもセメント製造プロセスで廃プラスチックを活用することは、エネルギーを有効利用しつつ適正に処理できる方法である。無機成分の混入や複数樹脂の混合により従来焼却されていた廃プラスチックを高温焼成用の石炭代替として使用することは脱炭素効果があると考えられ、本稿では LCA の手法に基づいて、セメント製造プロセスにおける廃プラスチックのエネルギー回収によるCO2の排出削減量を算定した事例について紹介する。実際の工場をモデルとして算定した結果、必要な熱エネルギーのうち 32% を廃プラスチックにより代替することで、セメント製造工程全体の排出量原単位の約 1 割に相当するセメント 1 t あたり 75 kg の CO2 排出量を削減できることが明らかとなった。今後もより多くの廃プラスチックをセメント製造プロセスで利用できる技術開発が進み、国際的な課題となっている廃プラスチックの処理方法の一つとして活用されることが期待される。

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