2026 年 22 巻 1 号 p. 23-29
本稿は、美食地政学プロジェクトの枠組みの下、地域の食資源に基づく持続可能なビジネス・サプライチェーンの設計原理を検討する。日本のフードサプライチェーンは多段階・多品目対応により効率化を達成してきた一方、長距離輸送依存や食品ロスの課題があり、低い食料自給率と相まってレジリエンスの脆弱性を抱える。本稿は、(有)伊勢志摩冷凍と「四季彩食いまむら」の事例分析を通じ、未利用資源の高付加価値化(冷凍・一次加工等)、料理人を核とした知識の実践拠点化、双方向の情報循環を核とする地域連携の有効性を示す。さらに、少量分散資源を収集・一次処理・保管するロジスティクス設計と、加工業者の役割を中核に据えた小規模・多層型の地域サプライチェーン、ならびに生産・加工・流通・消費を接続するマッチング型プラットフォームの必要性を指摘する。結論として、地域に根ざした加工拠点と知識共有、最適化されたロジスティクス、政策的支援を統合することで、食のレジリエンスを高めつつ環境負荷と食品ロスを削減し、味覚・文化・経済価値の同時創出が可能である。