蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
Print ISSN : 0024-0974
68 巻, 1 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2017 年 68 巻 1 号 p. Cover1-
    発行日: 2017/04/28
    公開日: 2017/12/01
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 光
    原稿種別: 本文
    2017 年 68 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2017/04/28
    公開日: 2017/12/01
    ジャーナル フリー

    The pupal weight of the swallowtail butterfly (Papilio xuthus Linnaeus) was measured, to determine if there were distinguishable differences between non-hibernant, hibernant or parasitized pupae. Measurements were made of 80 pupae, including 18 hibernant, 29 non-hibernant, 24 parasitized and 9 diseased pupae. In the former 3 types of pupae, the weight decreased linearly with time after pupation, but at different rates (parasitized pupae > hibernant pupae >> non-hibernant pupae) . At eclosion, the pupal weight had decreased to about 90% of the initial value for the non-hibernant pupae, and about 85% for the hibernant pupae. The results indicate that the weight loss was quicker for the parasitized and non-hibernant pupae compared to the hibernant pupae, while the amount of weight loss at emergence was larger for the hibernant pupae than for the non-hibernant pupae.

  • 福田 晴夫, 久保田 義則
    原稿種別: 本文
    2017 年 68 巻 1 号 p. 8-19
    発行日: 2017/04/28
    公開日: 2017/12/01
    ジャーナル フリー

    In recent years in Japan, not a few southern butterflies have expanded their ranges northward. Around 2006, however, the palaearctic Lycaena phlaeas chinensis (C. Felder, 1862) moved southward to Yakushima, and the species seems to have become an established resident there. The present paper reports its expansion processes, and discusses the cause of this southward expansion.

  • 吉安 裕, 清水 加耶, 市岡 孝朗
    原稿種別: 本文
    2017 年 68 巻 1 号 p. 20-33
    発行日: 2017/04/28
    公開日: 2017/12/01
    ジャーナル フリー

    マレーシアのボルネオ島産のオオバキ属(Macaranga)植物3種を寄主とするマドガ科の1新属の1新種を記載し,DNAバーコード情報を登録した.また,その幼生期の形態と生態について初めて記述した.本種は,初め Robinson et al. (1994)によって未記載種 Pharambara sp.として分類され,近年は Sutton et al.(2015)で Collinsa sp. 2 として図示されていた.この両属のタイプ種について,翅の翅形と斑紋ならびに♂交尾器の形態を比較・検討した結果,本新種はこの近縁のいずれの属にも属さず,また,これらが属するマダラマドガ亜科 Siculodinae の他属とも形態的に異なることが明らかになったので,本新種に対して,新属Shafferiella Yoshiyasu, n. gen.を創設した.

    The genus Shafferiella Yoshiyasu, n. gen.

    頭部にケトセマと単眼を欠く.触角は雌雄とも糸状.ラビアル・パルプスは細く上向する.翅脈は他のマドガ科の属と同様に各脈が基部で融合することはない(Fig. 1D).翅の斑紋は全体にクリーム色を呈し,前翅の翅頂部付近に特徴的な白色の短い帯をもち,前・後翅の中央には比較的顕著な暗色の横帯がある.♂成虫の第8と第9腹節間の節間膜は長く,その一部に1対のヘア・ペンシルをもち,交尾器のバルバは細長く,後半部はとくに細まることで,近縁のPharambara属やCollinsa属から区別できる.♀交尾器では,交尾口は狭い;ドクツス・ブルサエは細長,楕円形のコルプス・ブルサエには小歯をもつシグヌムを有する.これらの形質のうち,前翅の翅頂部付近の短い白帯,♂成虫の第8と第9腹節間の長い節間膜,および♂交尾器のバルバの状態の共有によって,下記のCollinsa属として扱われていた種pallida(ウスマダラマドガ)と種 hamiferaを本新属のもとに置いた.

    Shafferiella pallida (Butler, 1879), 新結合

    Shafferiella hamifera(Moore, 1888), 新結合

    Shafferiella macarangae Yoshiyasu, Shimizu-kaya & Itioka, n. sp. (オオバギマダラマドガ:新称和名)

    成虫(Figs 1A-C).前翅長:♂7.8–9.4 mm,♀8.5–10.8 mm.頭部は淡褐色.ラビラル・パルプスは暗褐色で湾曲して上向し,第3節は短く細い.触角は雌雄とも前翅の約1/2の長さ;糸状であるが,やや扁平.前脚は短く,中脚は後脚よりも長い.前翅はやや細長く,淡褐色で目立たないが細く短い茶色の横線が全体に分布する;前縁部に7個の小白斑をもつ;翅頂付近の亜外縁部のR4脈とM2脈間に三日月状の白色条斑をもつ;M2室には3–5個の小黒点が並ぶ.後翅は短く,淡褐色で,多数の弱い網目状の細い線のほか,中央部には明瞭な褐色横線が斜め内方に走る.

    ♂交尾器 (Fig. 2):テグメンは背面の前方でV字型に陥入し,側面からみて背部は波打つ;ウンクスの基部は幅広いが,後方部は幅が狭く側面からみて鎌状を呈しその背側部には多数の小刺毛を具える;グナトスはウンクス基部からテグメン腹面に沿って前方に伸び,腹中線上の針状のコクレアに終わる;バルバは基部を除き細長く,背方に緩く湾曲して後方に長く伸びる;内面基部には小突起のある硬化部をもつ.サックスから前に伸長する弱い硬化部にヘア・ペンシルがあり,バルバ全体を側面から覆うように後方に伸びる.

    ♀交尾器 (Fig. 3):交尾口は狭く,その腹面にはやや硬化した逆三角形の突起が形成される;アントルムは小さく発達;ドクツス・ブルサエは細長く,コルプス・ブルサエは長楕円形で小さなシグヌムをもつ;第8腹節の背板は短く,アポフィシス・アンテリオリスは第7腹節背板の約1/3の長さ;アポフィシス・ポステリオリスはアンテリオリスよりやや長い;パピラ・アナリスは丸く側部に多数の刺毛をもつ.

    卵 (Figs 5A-E). 長さ0.52 mm, 直径0.25 mm.やや長い俵状で,精孔部のある上面はやや細く,産下面の下面は扁平.側部には13または14本の規則的な縦の稜線をもち,それらの間には多数の等間隔の横線が平行して走る.

    終齢幼虫(Figs 4-5).体長15-18 mm,頭幅1.6-1.7 mm.円筒形.頭部は一様に淡橙色でP1とA3刺毛を除きその他の刺毛は短い.6個の個眼は比較的小さく離れて分布.マンディブルは茶色,ほぼ四角形で4歯を有する.前胸背盾は淡黄褐色で,後方部が隆起する;背盾下の気門は大きく円形.中胸と後胸は短く,後胸では中胸に比べD, SD, L刺毛群はより前方に位置し,短い.胸部3節のL刺毛群とSV刺毛群はそれぞれ2本.胴部は半透明の淡い黄褐色;刺毛は発達し,特に背方の刺毛は長い.第1腹節のSD1刺毛は短く,気門の斜め後方にある;L1とL2の刺毛基板とL3の刺毛基板の間で気門の腹方には内側に嚢状器官をもつ.第1–8腹節のSD2刺毛は痕跡的.第9腹節ではD1とD2刺毛は同一基板上にあり,反対側の同刺毛基板と背中線で合一する;L刺毛は1本.第1–9腹節のSV刺毛は,それぞれ,2,3,3,3,3,3,2,1,1本.第3–6腹節の腹脚の鉤爪は約50本からなり,不規則な三様の円環状配列.第10腹節の腹脚には半環状配列の不規則な三様の約20本の鉤爪をもつ.

    蛹 (Fig. 6).体長8.5–10.5 mm, 横幅2.5–2.8 mm.体形は太く短いが,他の種に比べてやや細く,茶褐色.触角は前翅の約4/5の長さ,中脚はほぼ前翅端に達する.後脚は口吻先端の後方に短く現れる.

    生態 (Figs 8-9).卵は寄主の葉の裏面に,個々の卵が一定の間隔をおいた集団で産下される.1集団における卵数は平均83.3個であった.孵化幼虫は葉脈沿いに天幕状の絹糸を紡ぎその中にいて,葉の表皮を摂食する.中齢期になると葉縁に移動し,そこで葉を直線状に裁断し,中肋に向かって葉を巻いて巣(第一の巣)をつくり,巣内部の葉を摂食する.齢が進むと最初の巣を遺棄し,上の方の新しい葉に移動し再度葉縁から葉脈とほぼ直角となるように裁断し,その部分から内方に葉を巻いて円筒形とそれを覆う円垂形部分からなる新たな巣(第二の巣)をつくる.終齢幼虫は第二の巣の円筒形部分の片方を絹糸で固くとめて中で蛹になる.本マドガの寄主となるオオバキ属の3種はすべてアリとの共生関係をもついわゆるアリ植物であるが,野外ではマドガ幼虫が寄生していた植物には寄生されていなかった植物と比べてアリ類の随伴は少なく,マドガ幼虫とアリ類との遭遇も観察されなかった.

    寄主植物.Macaranga bancana (Miq.) Müll. Arg., M. trachyphylla Airy Shaw, M. umbrosa S. J. Davies (トウダイグサ科).

    分布.マレーシア(Sarawak, Sabah, Kalimantan Tengah, W. Malaysia), シンガポール.平地から標高 1,200 m までの低高地.

  • 長田 庸平
    原稿種別: 本文
    2017 年 68 巻 1 号 p. 34-36
    発行日: 2017/04/28
    公開日: 2017/12/01
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    Tinissa 属(ヒロズコガ科オオヒロズコガ亜科)はWalker (1864)によって,T. torvella Walker, 1864 をタイプ種として設立され,世界で 41 種が知られる(Robinson, 1976; Yang and Li, 2012).最近,円谷・坂井(2013)は,インドから中国に分布する本属の一種 T. indica Robinson, 1976を沖縄県の石垣島から記録し,「カビラクリイロヒロズコガ」という和名を与えた.この記録は本属の日本初記録である.

    筆者は大阪府立大学の所蔵標本より,鹿児島県の屋久島で採集された本属の標本を確認し,斑紋および交尾器よりクリイロヒロズコガ(新称)Tinissa leguminella Yang and Li, 2012と同定した.本種は,中国雲南省産の雄個体に基づいて新種記載された.本研究では,本種を日本から初めて記録し雄成虫と雄交尾器の写真を図示した.

    Tinissa leguminella Yang and Li, 2012 クリイロヒロズコガ(新称)

    前翅長:9.0 mm.

    本種成虫の斑紋は T.indica とほぼ同じであるが,雄交尾器の形態で識別が可能である.本種はT.indica と比較すると,ウンクスの長さは約2倍,ビンクルムの幅は約4倍,ユクスタの長さは約1/2,バルバの前方の突起の長さは約2倍,挿入器のカリナの長さは約1/3である.また,本種のウンクスは豆の鞘状,スブスカヒュウムは分岐,ユクスタは角状,バルバとユクスタの間の膜質部から出る突起は背腹方向にほとんど平行であるのに対し,T.indica のウンクスは三日月状,スブスカヒュウムは三角状,ユクスタは拳状,バルバとユクスタの間の膜質部から出る突起は指状である (Yang and Li, 2012).なお,本種の雌は知られていない.

    本属の多くの種の幼生期や寄主など生態はほとんど知られていないが,T. torvella Walker, 1864 は竹のキノコ類から得られたという(Robinson, 1976).また,本属は前翅の翅脈 のR4 とR5 が中室から1/3 あたりで融合するという特徴を持つ(Robinson, 1976; Yang and Li, 2012).寄主:不明. 分布:日本(屋久島,鹿児島県);中国(雲南省).

  • 小林 茂樹, 松岡 悠, 久万田 敏夫
    原稿種別: 本文
    2017 年 68 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2017/04/28
    公開日: 2017/12/01
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    Macarostola 属は,インド~オーストラリア区から26 種が知られ,成虫の前翅は鮮やかな橙赤色の地に白や黄色の斑紋をもち,美麗種を多く含む.幼虫は日本産種を除き,フトモモ科の植物を利用する.日本では,ベニホソガ M.japonica Kumata, 1977(寄主植物:ゴンズイ,ミツバウツギ科)の1 種のみが知られていた.しかし,De Prins and De Prins (2016)は,ウェブサイト上にレンブ(フトモモ科)から得られた日本産本属の標本写真を本属の一種 M.zehntneri (Snellen, 1902)として掲載した.吉安は,2016年3 月に沖縄島において野生化したフトモモ(フトモモ科)からベニホソガ属の幼虫を採集した.羽化した成虫と大阪府立大学所蔵標本を検討した結果,前翅の斑紋の特徴から M. zehntneri と同定した.雌雄交尾器を初めて図示し,分布と寄主を追加するとともに,これまで報告のなかった幼虫の潜孔,マユの写真を図示した.幼虫は初め,葉にナメクジの這ったような細い潜孔を作り,その後潜孔を脱出し,葉を円錐形に巻き内部を摂食する.老熟すると巻いた葉から脱出して葉縁を強く折り曲げて細長いマユを紡いで蛹室を作り,その中で蛹化した.また,ミトコンドリアDNAのCOI 領域の一部(DNA バーコード領域)の配列(658bp)を決定し,遺伝距離を比較した結果,同属の他種(M.japonica, M. ida)と明確に区別でき、最も近かったのはオーストラリアの学名未決定種であった.

    フトモモベニホソガ Macarostola zehntneri (Snellen, 1902)(和名新称)(Figs 1-4)

    開張8-10 mm.前翅の斑紋は,翅頂の2 つの黒色斑紋,後角部にL字形の白色斑紋を除き,6 ないしは7 つの黄色の斑紋をもつ.原記載では前縁の黄色斑紋は3 つであるが, 日本産ではしばしば第一斑紋が2 つに分かれる.日本産のベニホソガ M. japonicaは,頭部が橙赤色,黒色斑紋を持たない,前縁の斑紋が白色,雄交尾器のバルバはより丸みを帯びる,雌交尾器の1 対のシグナは短く,同じ長さであるなどの点で本種と識別できる.幼虫は,両種とも葉を円錐形に巻くが,ベニホソガでは,ミツバウツギ科のゴンズイを利用し,葉縁を折らないでボート形のマユを葉上に作る.

    寄主植物:フトモモ,レンブ(フトモモ科),国外ではフトモモ(新記録),レンブ,同属の Syzygium cumini が知られる.

    分布:日本(新記録):沖縄(沖縄島,石垣島);国外では台湾(新記録),インドネシア,インド.

  • 原稿種別: 文献目録等
    2017 年 68 巻 1 号 p. Misc1-
    発行日: 2017/04/28
    公開日: 2017/12/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2017 年 68 巻 1 号 p. App1-
    発行日: 2017/04/28
    公開日: 2017/12/01
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