2018 年 69 巻 1 号 p. 45-47
平野長男氏が採集した見慣れぬヒメハマキガを検討したところ,Epinotia 属の新種であることが判明したので記載した. Epinotia takabotti Nasu, n. sp. ツマグロアカチャヒメハマキ (新称) 開張13-15 mm.前翅の地色は黄茶色,翅頂1/3 が暗褐色でその部分に太い灰色横線を2 本もつ.♂は前翅に細長い前縁ひだ(costal fold)をもつ.♂交尾器のウンクスは細長く,先端は2 叉する;バルバは大きく幅広で,ククルス は大きな長方形.♀交尾器のラメラ・ポストバギナリスは長方形で,後方端に小さな切れ込みを有する;シグナは2 個で幅広い刃状.分布:日本(本州,長野県).本種は Abies firma Siebold et Zucc. モミ(マツ科)から昼間にスウィーピング法で得られたもので,モミが本種の寄主かもしれない.本種の外見はE. autonoma Falkovitsh, 1965 タマヒメハマキに類似するが,前翅の地色がより黄色味が強いこと,翅の外方1/3 のみが暗褐色である(タマヒメハマキは翅の外方1/2 が黒褐色)点で区別できる.本種の♂交尾器は大きく幅広なバルバと大きな長方形のククルスをもつことでEpinotia 属内でも特徴的なものであり,同様な交尾器はE. aquila Kuznetzov, 1968 クロツヅリヒメハマキで見られるが,本種は後者よりもウンクスがより長い点で区別可能である.♀交尾器においては本種のドゥクツス・ブルサエの後半部が硬化する点で後者と区別できる.交尾器の類似から両者の近縁性が示唆される.