抄録
本論文では,臨床心理士や公認心理師,カウンセラーなどの心理専門職が,社会正義に基づく心理支援を提供するために必要なアドボカシー能力について検討した。コミュニティとの協働によるアドボカシー活動として,人権を基盤としたアプローチである,包括的セクシュアリティ教育に焦点を当てた。現状では,心理専門職によるセクシュアリティ教育の実践は非常に少ないことが明らかになったが,今後,教師との協働による教育実践と実証的な効果研究を行うことにより,子どもたちの人権を尊重する学校づくりに貢献することが重要である。