マクロ・カウンセリング研究
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特集
「新型コロナワクチン後遺症患者の会」の声を聴く
—心理士として知っておきたいこと—
村本 邦子
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2024 年 17 巻 p. 39-53

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抄録
心理士 として 新型 コロナワクチン 被害者 に 何 ができるかを 探 るため , 「新型 コロナワク チン 後遺症患者 の会」 の 協力を 得 て , 今回 はとくに 子 どもの問題 に 焦点 をあて, 調査 を 行 った。会員81名中33名がアンケートに回答し, うち5名が座談会(グループ・インタビュー)に参加した。被害者たちはワクチン接種後, 頭痛, 倦怠感, 体が動かない, 食欲不振などさまざまな体調不良に悩まされ, 学校に行けない状態になった。医療機関ではワクチン被害の可能性を否定され,心の問題にされた。心理士には心の問題を探られ, 本人の性格や子育てのせいにされ, 不快や不信を経験していた。協力者たちは心理士に本人の訴えをそのままに受けとめて欲しいと思い, 学校との調整などアドボカシーを期待していた。現時点では患者会や遺族会からの訴えは社会からほとんど無視されている状況にあり, 被害者たちは体調不良に加え, 社会に対する強い不信と苦悩を抱えている。今回の協力者たちは最終的に患者の会や信頼できる医者に辿り着いているものの, 孤立した被害者は多くいるはずである。このような社会的文脈を理解し, 心理士としての立場をわきまえつつ, クライエントに寄り添い伴走することが求められる。
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