抄録
2020年春,新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,各学校においては休校措置が要請され,大学でもオンラインによる授業が中心となった。2021年より任意によるワクチン接種が開始され,学内外の実習においてもワクチン接種やPCR検査の実施は必須条件とされていないにも関わらず接種や検査が推奨され,十分な説明と納得・同意がないまま学生や教員が受ける事態が見受けられた。本論文では,高等教育機関が担う目的と社会的役割に照らして,今回の感染症対策が果たして妥当であったのか,より望ましい対応可能性について振り返り検証するとともに,大学人として職業人として,自らの倫理的義務及び真の社会貢献の有りようについて批判的に反省し,再考することを目的とする。