哺乳類科学
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東京西部の裏高尾のタヌキの食性―人為的影響の少ない場所での事例―
高槻 成紀山崎 勇白井 聰一
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2020 年 60 巻 1 号 p. 85-93

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抄録

人為的影響の少ない東京西部の裏高尾のタヌキの食性を調べたところ,人工物は出現頻度5.0%,ポイント枠法による平均占有率0.4%に過ぎなかった.果実・種子が一年を通じて重要で,出現頻度(果実98.0%,種子93.1%),平均占有率(果実30.0%,種子25.7%)とも高かった.季節的には春は果実,種子,昆虫の占有率が20%前後を占め,夏には種子が36.7%に増加した.秋には果実が71.5%と最多になり,昆虫は微量になった.初冬には果実が43.2%に減り,種子が31.7%に増えた.晩冬は果実(15–35%),種子(15–25%),昆虫(20–30%)が主要であった.種子は晩冬のエノキ,春のキチイゴ属,夏のミズキ,秋のケンポナシ,初冬と晩冬のヤマグワと推移した.ヤマグワやサルナシは結実期とタヌキによる利用の時期が対応しなかった.

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© 2020 日本哺乳類学会
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