2021 年 2 巻 1 号 p. 33-46
近年相次ぐ品質不祥事は,管理会計とけっして無縁ではない。本稿では,品質不祥事の背景に潜むわが国の製造業に共通した問題点を検討し,その原因について探究する。じつは,そうした問題点の背後には,管理会計システムの負の影響も見え隠れしている。さらに,一連の品質不祥事はわが国のコーポレートガバナンスが有効に機能していない現実をさらけ出したともいえる。管理会計システムは,このコーポレートガバナンスの中核を担う存在と目されているものの,そのためには少なからぬ変革が必要となる。本稿では,当該変革のあり方についても展望を試みる。