本稿は,松本信用金庫を事例として,地域金融機関における業績評価システムの変化と地域貢献指標i Bank indexの活用を検討するものである。課題解決型金融の導入とともに,件数重視から質重視への転換が進み,本部と支店の協働によるOJTを通じた支援を通じて行員の支援力向上が図られた。i Bank indexは顧客企業業績の相対改善を示す指標であるが,本事例においては信条システムとしての機能を果たし,地域密着型金融の理念的成果を可視化させる可能性があることを明らかにした。
本研究は,M&A後のシナジー実現プロセスとしての売り手企業の知識提供行動とPMIにおける統合の程度やコントロール方法の関係を売り手企業マネジャーに対する調査より検証した。人的・組織的統合や業績管理システムのインタラクティブ利用は知識提供行動を促進する一方,業績管理システム自体の統合はインタラクティブ利用の効果を低減することが明らかになった。
アメーバ経営も,Simonsの唱えるMCSをICSとして利用するシステムをその枠組みにとりいれる,MCSの拡張化の具体的な実例としてイメージできるのではないか。本稿は,この観点から,果たしてアメーバ経営におけるICSの実践は,SimonsにおけるICSの考え方や利用の仕方に相応するものとして採用できるものであろうか,という基本的クエスチョンに答えるものである。結論として,複眼的な考察の意義を唱える。
本稿は、中小ファミリービジネスにおける管理会計実践の多様性がいかにして生み出されるのかを、3社のケース・スタディに基づいて分析した。分析の結果、社会情緒的富(SEW)そのものではなく、SEWを判断基準とした経営者の注意の配分と戦略的課題認識が、文脈的要素の影響を受けることで、多様な管理会計実践が生み出されている可能性を示した。
独立行政法人国際協力機構は,開発途上国の国づくりに必要な資金を貸し付ける有償資金協力業務の財務経理を管理する有償資金協力勘定において,民間金融機関の取組を参考にリスク資本配賦の部署別管理会計を構築した。本稿では,部署別管理会計の内容,試行の結果と評価,および考察と展望について述べる。
本稿は,税理士が開業初期において他の経営会計専門家と対話・交流する過程を長期的に観察し,臨床的知識がいかに相互作用し形成されるかを明らかにする。異なる職歴をもつ専門家間の越境学習を通じて,会計事務所の運営方針や顧客支援手法が具体化されるプロセスを事例研究により示した。
本稿は,トヨタ生産方式を範としたリーン生産に適合する管理会計手法である「リーン会計」について,その理論と手法を整理するとともに,欧米の先行研究や導入事例を参照しつつ,日本企業における適合性と親和性を考察した。現場改善と財務成果を統合する本手法が,効率的な生産管理や競争力強化に資する可能性を提示する。
本研究は会計専門家が持つ臨床的知識において特に顧客を選ぶプロセスに焦点をあて、どのような方法をとりうるのかを検討した。中小企業をクライアントに持つ税理士法人に対してインタビュー調査を行ったところ、企業の実態よりも経営者個人の特性によって顧客を選んでいることや、複数の側面からリスクを評価していることが明らかとなった。
本研究は,先行研究であるB社板金工程のリアルタイムデータによる「現場発の会計数値」と,財務からの「部門別損益数値」の適時比較を可能にする「ジャスト・イン・タイム損益計算書(JIT-PL)」の事例を検討する。実務家と研究者が協働してJIT-PLの会計的意義を明らかにするとともに中小企業に有効な管理会計DXの可能性を探索する。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら