イギリスの都市政策では多様性の維持に加えて,1990年代後半以降は持続可能性が,基本となる考え方として位置づけられてきた。それらに基づいて,一方で開発許可を軸にしたプラニングシステムによって大規模ショッピングセンターをはじめとするさまざまな開発を規制してきた。そこでは,タウンセンターの「活力と存続」,あるいはタウンセンターファーストの考え方を前提にした逐次的アプローチというコンセプトが受け継がれている。他方,都市再生の側面では,タウンセンターにおける小売,サービス,エンターテイメント,そして住宅などを含む大規模再開発と,インナーシティにおける近隣街区リニューアルが並行して実施されてきた。本稿では,以上のような経緯について思想,政策,取組みという3つの次元から確認する。その上で,都市計画による郊外開発規制,将来ビジョンとしてのコンパクトシティ,タウンセンターやハイストリートにおける多様性と同質化,という3つの論点から日本への示唆を探る。