新型コロナウィルス感染症の流行は,日本のマーケティングのあり方にも大きな影響をもたらした。激変する環境のなかで,マーケティング戦略をいかに適応させていくかは,マーケティング研究,マーケティング実務の双方にとって,きわめて重要な課題である。しかも,今回の新型コロナ危機がマーケティングに及ぼす影響は,それにとどまらないであろう。生活様式や購買行動の変化に不可逆的な部分が含まれるならば,長期的には,マーケティングのあり方を抜本的に変えてしまいかねない可能性も秘めている。本稿は,そうしたなか,新型コロナ危機のなかで広がった,オンライン商談,D2C,オムニチャネルに焦点を当て,これらの動きが,流通チャネル政策を通じて,将来に向けてどのような戦略課題をもたらすかを明らかにしようとするものである。