2022 年 41 巻 4 号 p. 106-115
環境変化への対応は,企業経営の永遠の課題である。本業消失の危機に瀕するほどの環境変化に直面した企業は,どのように対応すべきであろうか。この問いに対するひとつの答えを,富士フイルム株式会社において「第二の創業」と呼ばれる事業転換の試みにみることができる。同社はこの試みを通じ,専門分野の違いをこえて自社の強みを伝えることができる共通言語の重要性を認識し,自社社員から社外の法人顧客まで巻き込む相互作用の基盤づくりに注力した結果,Open Innovation Hubの開設にいたった。その試行錯誤のプロセスについては,バウンダリー・オブジェクトを生み出し進化させていくプロセスとしてみることができる一方,そのプロセスに少なからず影響を与えるバウンダリー・スパナーの存在がみられる。