2022 年 42 巻 2 号 p. 17-28
本研究は,この数年間の日本代表チームの活躍や国際大会開催の影響も相まって人気が高まり,ファン層拡大の契機に直面し複雑化していると想定されるラグビーの観戦市場を研究対象とした。スポーツ消費者を対象にしたマーケット・セグメンテーションの有効性を改めて確認するためにも,クラスター分析を用いて観客層を探ることを目的とした。さらに,発見された各クラスターの属性,観戦行動および今後の観戦行動意図の比較を試みた。実際にラグビーの試合会場を訪れた観戦者を対象に,スタジアム内で質問紙調査を実施し,3,140部の有効なサンプルを獲得した。過去のスポーツ関連経験,知識および観戦理由に関する変数を用いてTwo-Stepクラスター分析を行った結果,有効な5つのクラスターが発見された。さらに各クラスターには,人口統計的属性,観戦時の行動,および今後の行動意図において異なる特性があることが確認され,スポーツ観戦市場におけるマーケティング戦略への有用性の可能性が示唆された。