2024 年 44 巻 2 号 p. 182-189
米国に比べ日本の小売業の生産性が低いという課題に対し,本稿は小売店舗販売員の新たな価値を提示するものである。それは,小売店舗販売員によるイノベーションという価値である。日本のアパレル小売業であるユナイテッドアローズ社のグリーンレーベルリラクシングでは,企業内リードユーザーである店舗販売員のアイデアを起点に共創プロジェクトを立ち上げ,成果をあげている。まず,共創プロジェクト導入の背景およびその概要,その新製品を説明する。次に,店舗販売員がイノベーションに貢献できる要因と,共創プロジェクトと通常の企画開発との成果の比較を解説する。最後に,共創プロジェクトが成果をあげる要因を2点に整理する。第1に,アイデア公募によって,リードユーザーネスが高く,自身と顧客ニーズを融合できている店舗販売員を巻き込めている点である。このリードユーザーネスの高さが,市場成果やアイデアの評価を高めることにつながっている。第2に,共創プロジェクトでの企画開発部門との共創や,モチベーションの向上が,共創プロジェクトを有効に機能させている点である。この共創プロジェクトが,市場成果やアイデアの評価を高めることにつながっている。