2025 年 45 巻 2 号 p. 140-147
本研究は,黎明期(1961年~1970年)における我が国の観光マーケティング研究の傾向を明らかにすることを目的とした。主要な学術研究に関するデータベースと論文検索エンジンを対象に文献数を調査したところ,最終的に20の文献が抽出された。これらの文献を対象に,TCCMフレームワークを用いて研究傾向を分析した。その結果,以下の4つの傾向が明らかになった。(1)Theory(理論)については既存理論の活用が行われつつ,新たな理論モデルの提示が試みられていた。(2)Context(文脈)については,訪日外国人旅行市場や観光産業を対象とした研究が相対的に多かった。(3)Characteristics(特性)については,観光マーケティングに影響を与える変数としての外部環境への着目度が高く,観光マーケティングの成果として外貨獲得による経済発展や国際平和への貢献に対する言及が多かった。(4)Methodology(方法)については,実証研究が少なかった。