抄録
2000年代以降,インターネットやソーシャルメディアの普及を背景にコミュニティへの関心が高まっている。業務上の課題解決や個人の能力向上のためコミュニティに参加するビジネスパーソンも増える中,B2C(企業対消費者取引)市場に限らずB2B(企業間取引)市場においても顧客間の知識共有を目的としたコミュニティの取り組みが増加している。B2Bを対象としたコミュニティ研究には2000年前後に始まる二つの潮流が存在する。一つ目はブランド・コミュニティ研究の枠組みの中でB2Bブランドに焦点を当てた研究であり,二つ目はプロフェショナル間の知識共有を対象としたプロフェッショナル・コミュニティに関する研究である。本研究では,B2Bブランド・コミュニティとプロフェッショナル・コミュニティという二つの研究領域を対象に文献レビューを行い,コミュニティ参加行動の理論的背景と先行要因および結果を概括するとともに,今後の研究課題を提示する。