2025 年 6 巻 1 号 p. 1-8
本研究は,地域連携を活用した持続可能な社会システムの構築を目指す日本の状況に鑑み,プレイス・ブランディングの観点から「センス・オブ・プレイス(SOP)」の分析を行った。これまでSOPの解析は人為的な手法で行われる傾向にあったが,昨今はAIを活用した解析が行われつつある。そこで本研究では,地域間ブランドの代表例である燕三条地域に注目し,人々が同地について発したSNSの投稿データを収集し,そのデータを機械学習で解析し,住民や観光客が地域に対して抱く感情を評価した。感情分析には,TransformerベースのLukeモデルを用い,投稿内容から8種類の基本感情(喜び,期待,驚きなど)を特定した。結果として,燕三条というプレイスにかかる感情の変遷を把握した。また,イベントが期待や喜びと関連し,コロナ禍の影響も感情に反映されていることが解析された。本研究はSNSデータの活用によって,地域のブランド力強化やイベントの効果を計測できる手法を提案し,他地域への応用可能性も示唆している。