本研究の目的は,日本の大企業において,データ活用で成果を生み出すにはどのような活動が必要になるか明らかにすることである。Gupta and George(2016)を代表とする大規模データ分析におけるリソース(Big Data Analytics Capabilities)に関する研究領域の中で,企業内を「データ活用組織」「経営層・企業」「事業担当」の3つの主要な組織に分類をして,それぞれの活動がデータ活用の成果にどの程度寄与するか,仮説モデルを構築して検証を行った。結果として,データ活用で成果を出すにはデータ活用組織における,データや分析システム,データ活用人材・スキルは必要であるものの,直接効果としては不十分であった。しかし,①経営層・企業によるデータ活用への意識や理解,企業変革に前向きな文化などが媒介効果として必要であり,②事業担当によるデータ活用への意識や理解,データ活用組織との連携なども媒介効果として必要であることが示された。特に,②と比べて①の重要性が高いことも示された。