抄録
日本語の書名を対象に国会図書館サーチを用いて一般書とベストセラーのデータを集め分析した.前者については日本十進分類法に基づいて8分野を選び,2003年~2012年のデータから計2082冊の標本を抽出した.後者については1973年~1982年及び2003年~2012年の計400冊の情報を得た.分析の対象と方法は両者に共通で,書名をメインタイトルとサブタイトルに分け,字種の使用度数,書名の言語構造,モダリティを調べ,一般書については分野による,ベストセラーについては年代による違いを考察した.まず一般書について,メインタイトル,サブタイトルとも,全長,字種の比率,言語構造とモダリティの分布に分野差がある.次にベストセラーについて,メインタイトルの全長とモダリティの分布,及びサブタイトルの字種の比率に年代差がある.最後に「わかる」を例として書名に個別表現を用いる意図が分野によって異なることを考察した.