抄録
本書は,SP盤レコードに遺された,大正から昭和戦前期の政治家・軍人・実業家・文化人などの演説・講演を,言語研究の専門家が可能な限り忠実に文字に起こし,演説者ごとに収録した「文字化資料集」である.本書作成の基盤となったのは,芸能史研究家・岡田則夫氏の提供・編集・監修により,2010年5月にデジタル音源集として販売された『SP盤貴重音源 岡田コレクション』で,資料の作成は,国立国語研究所の共同研究プロジェクト「多角的アプローチによる現代日本語の動態の解明」(基幹型,リーダー:相澤正夫)による活動の一環として行なわれた.本書の出版により,「20世紀前半の公的な堅い言い回しの口語資料」として日本語の歴史的な面からの研究はもちろんとして,近現代の政治・経済・文化などの面においても,新しい側面からの研究が展開される可能性が期待される.