計量国語学
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第64回大会発表特集
漢語名詞の連体修飾用法:異なる連体修飾標識の選択が 意味機能に及ぼす影響
漢語名詞「安定」を例にしたコーパス調査
鄧 琪
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 33 巻 2 号 p. 65-80

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抄録
漢語名詞は様々な連体修飾標識を介して名詞と接合することが知られているが,各種連体修飾標識の典型性や,ジャンルおよび共起環境による典型性の変化は必ずしも明らかではない.そこで,本研究では,漢語名詞「安定」に注目し,「ナ」・「ノ」・「シタ」・「的φ」・「的ナ」という5つの連体修飾標識について,(1)個々の標識の典型性(頻度・レンジ),(2)ジャンル,(3)共起環境(全体・前接要素・後続要素)の3点を解明することを目指す.その結果,(1’)5つの連体修飾パターンのうち,「安定シタ」は最も典型的な形であること,(2’)「安定ナ」は教科書ジャンルで,「安定的(ナ)」は白書・法律ジャンルで特徴的に使用されること,(3’)各連体修飾パターンは異なる共起環境で生起しやすいこと,などが確認された.本研究で得られた知見は漢語名詞の連体修飾構造の理解の深化に資するものと言える.
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