抄録
接続詞研究は,前後の文脈をどのような関係で結びつけるかという連接関係の議論を中心に発展してきた.しかし,接続詞の働きを記述するには,意味的にどこを結びつけるかという連接領域の実態の解明も必要である.そこで,人文科学論文で使用された接続詞を対象に連接領域の広さを分析した結果,次の3点がわかった.第一に,連接領域の広さから15種の接続詞を「狭域―狭域型」「中域―狭域型」「中域―中域型」「広域―狭域型」(前件―後件)に分類でき,同じ連接関係の類型に属する接続詞が異なる連接領域の特徴をもったり,異なる連接関係の類型に属する接続詞が同じ連接領域の特徴をもつ場合があること.第二に,連接領域の広さには連接領域の内部構造,接続詞の語構成と文法化の程度,前件に対する修正の有無が影響していること.第三に,連接領域が広い場合,連接領域内に複数のトピックを含んだり,書き手の論理的な思考過程を述べたりできることである.