2021 年 38 巻 p. 111-116
マツダのブランドエッセンスである「走る歓び」を実現するため,クルマの高機能化に合わせて素形材部品には高精度化と軽量化の要求が高まっている。その中で,エンジン構成部品のシリンダーブロックは,軽量なアルミダイカスト工法で製造される。シリンダーブロックは,内部に「メインオイルギャラリ」と呼ばれる潤滑オイル分配用の穴を備えており,鋳抜きピンで成形されるが,この穴が鋳造の過程で曲がる課題があり,後工程の機械加工で曲り部分を切削していた。穴が曲がるメカニズムの解明とモデル化を行い,それを制御する金型技術を確立したことで,機械加工レス成形を実現した。本稿ではこの取り組みについて報告する。