2021 年 38 巻 p. 156-161
内燃機関の高熱効率化に加え,ゼロインパクトエミッション(ZIE)化及びカーボンニュートラル(CN)燃料への対応が急務となっている。多種多様な燃料において高い熱効率とZIE化を両立するためには,各種液体噴霧の分裂特性に基づいて,エンジン燃焼室内の混合気濃度分布・温度分布を精密に制御することが重要となる。本研究では,噴霧の分裂特性に深く関係する分裂長さに着目し,多種多様な液体噴霧の分裂長さを統一的に整理可能な指標構築に取組んだ。気液の相対速度を考慮した慣性力と表面張力の比を表すジェット数,噴霧先端速度と噴孔直径,雰囲気気体の動粘性に基づく気相レイノルズ数,及び液体の潜熱顕熱比を表す無次元量によって,液体種,噴孔諸元,雰囲気環境それぞれが異なる噴霧の分裂長さを統一的に整理できることを示した。