2006 年 10 巻 1 号 p. 5-11
切除不能幽門・十二指腸悪性狭窄13例に対しSelf-Expandable Metalic Stent(SEMS)の留置治療を試み,その治療成績について検討した.その結果,SEMS留置は全例で成功した.12例ではDysphagia Score(DS)の改善が得られ,平均DSは悪性幽門部狭窄例では2.8から1.8,悪性十二指腸狭窄例では3.7から2.9へ低下した.SEMS留置術に直接関連した死亡例は認めず,7例が在宅生活可能となった.幽門に留置した2例でSEMSの損傷,1例でtumor ingrowthによる閉塞,十二指腸水平脚に留置した1例でSEMSが逸脱し再留置を行ったが,重篤な偶発症はみられなかった.平均生存期間は悪性幽門部狭窄例で277.2日,悪性十二指腸狭窄例で53.9日であった.