松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
当院におけるリハビリテーション患者の疾患別構成とその特徴
徳田 佳生吉野 陽三藤本 一夫
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2008 年 12 巻 1 号 p. 15-20

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抄録
松江市立病院(以下、当院)におけるリハビリテーション(以下、リハ)患者の疾患別構成を調査し、他院と比較することで当院の特徴を検討した。 対象は平成16 年4 月~平成19 年3 月の3 年間にリハ科へ紹介となった新患2,569 例で、他院との比較および詳しい疾患別構成の検討は平成18 年度の859 例で行った。疾患群の分類方法には日本リハ医学会が指定する8 分類を用いた。 3 年度とも骨関節疾患が4 割強と多く、廃用症候群と摂食嚥下障害を含むその他が3 割強、脳疾患が2 割であり、この3 疾患群で大部分を占めていた。平成18 年度において、脳疾患では脳梗塞は多いが頭部外傷は少なく、また脊髄疾患では脊髄損傷は少なかった。一方、小児リハまたは循環器リハの対象者はなく、また神経筋疾患では神経難病はなく、切断、呼吸器リハも極わずかであった。他院との比較では、当院で特に骨関節疾患の比率が高かった。 当院において一次救急で来院する確率の高い骨関節疾患が多く、三次救急の対象となりやすい脳外傷、脊髄損傷や手指切断は少なく、また廃用症候群が比較的多いことは、一次救急と癌診療に比重をおいた地域中規模病院としての特徴を反映したものと思われる。一方、リハ科専門医養成のためのリハ研修施設としては、リハ患者が特定の疾患群に偏っており、広い範囲のリハ研修をするためには他病院との連携も必要と考える。
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© 2008 松江市立病院
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