抄録
症例は76 歳、女性。上気道炎で加療され、約1 ヵ月後に全身倦怠感、食欲不振、発熱を認めたため精査・加療目的で入院となった。入院後も38℃以上の高熱が持続し、精査をすすめるも診断にいたらず意識障害、血圧低下をきたした。電解質異常などから副腎不全を疑い採血後にハイドロコルチゾン投与をおこなったところ、全身状態の著明な改善を認め、後日施行した内分泌学的検査によりACTH 単独欠損症と診断された。ACTH 単独欠損症の症状は多彩で非特異的であり、しばしば微熱を認める。しかし本症例のように高熱が持続することは比較的稀である。原因不明の発熱の診断において、副腎機能不全も鑑別にあげるべき疾患と考えられ、貴重な症例と考え報告した。