松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
上気道炎を契機に急性副腎不全を呈したACTH 単独欠損症の1例
楠 龍策大國 智司河瀬 真也早渕 達也西 香代子加藤 順村脇 義之三浦 将彦結城 崇史田中 新亮河野 通盛吉村 禎二山田 稔
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2008 年 12 巻 1 号 p. 71-75

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抄録
症例は76 歳、女性。上気道炎で加療され、約1 ヵ月後に全身倦怠感、食欲不振、発熱を認めたため精査・加療目的で入院となった。入院後も38℃以上の高熱が持続し、精査をすすめるも診断にいたらず意識障害、血圧低下をきたした。電解質異常などから副腎不全を疑い採血後にハイドロコルチゾン投与をおこなったところ、全身状態の著明な改善を認め、後日施行した内分泌学的検査によりACTH 単独欠損症と診断された。ACTH 単独欠損症の症状は多彩で非特異的であり、しばしば微熱を認める。しかし本症例のように高熱が持続することは比較的稀である。原因不明の発熱の診断において、副腎機能不全も鑑別にあげるべき疾患と考えられ、貴重な症例と考え報告した。
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© 2008 松江市立病院
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