松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
単発性根尖性骨異形成症の1 例
木山 力哉石倉 信造吉田 剛田邉 敬一朗
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2008 年 12 巻 1 号 p. 95-98

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抄録
根尖性骨異形成症(periapical osseous dysplasias)は、1 ~数歯の根尖部組織にセメント質ないし骨様硬組織をともなって線維性結合組織の限局性増殖をきたす疾患である。根尖性骨異形成症は無症状であることから日常臨床で発見しにくく、X 線写真で偶然に発見なされることが多い。発生部位は一般に下顎前歯部に好発するとされるが、本邦においては、下顎小臼歯部~大臼歯部に好発するとされている。性差は女性に多く、好発年齢は40 歳~ 60 歳台に多いといわれている。病変部の大きさは直径1cm 以上に増大することは稀であるとされており、今回われわれが経験した単発性根尖性骨異形成症の1 例は16.3mm と比較的大きかった。本症例の概要とともに若干の文献的考察を加えて報告した。自験例では、患者は49 歳、女性。疼痛を主訴に当科を受診した。右下大臼歯に生じたセメント質腫をともなう下顎骨骨炎の臨床診断下、入院全身麻酔下に摘出術を施行した。病変周囲を十分掻爬した後に閉創した。摘出した硬組織病変は病理組織学的診断にて単発性根尖性骨異形成症であった。術後の経過は良好で、現在外来にて経過観察中である。
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© 2008 松江市立病院
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