抄録
神経鞘腫は有髄神経のSchwann 細胞の増殖からなる良性腫瘍であり、多くは周囲組織との境界が明瞭な腫瘤として認められる。好発部位は中枢神経系で、口腔領域での発症はまれである。今回われわれは、下唇に発症した神経鞘腫の1 例を経験したのでその概要を報告した。患者は26 歳、女性で、下唇の腫瘤を主訴に当科を受診した。下唇良性腫瘍の臨床診断のもと、局所麻酔下で、腫瘍摘出術を施行した。病理組織学的にはAntoni A 型の神経鞘腫であった。術後の経過は良好で、現在再発もなく、現在外来にて経過観察中である。