抄録
リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica : PMR)は、高齢者を診療する機会の多い当院の内科、整形外科外来において、比較的よく遭遇する疾患である。PMR は的確に診断し、コルチコステロイドを投与すると、劇的に症状が改善する疾患であり、一般臨床医にとって、本疾患に対する知識は必須である。当院で平成18 年8 月新病院開設以来、平成20 年7 月までの3 年間に経験したPMR22 例の性別、年齢、主訴、発熱の有無、血沈の亢進程度、プレドニゾロンの初期投与量、投与期間、再発・再燃の有無について検討した。性別では22 例のうち16 例、73%が女性であった。年齢は70 歳以上が75%を占め、50 歳代にも2 例認められた。主訴は、両頚部・肩部と両大腿部にこわばり感のある痛みを訴える典型例がほとんどであった。受診時、発熱を訴える症例が多く、血沈値は100mm 以上の高度亢進例が60%であった。プレドニゾロンの初期投与量は全例20mg 以下であった。投与期間は2 ヶ月間と短期間で中止できた症例から減量すると症状が増悪し、36 ヶ月間以上経過した現在も継続投与中の症例までさまざまであった。再発、再燃をした例は6例あり、PSL 投与中止後しばらくして再発した例が3 例、減量すると症状が増悪し、コントロール困難な継続投与例が3 例あった。