松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
がん疼痛治療における薬剤師の意識調査
~松江市薬剤師会におけるアンケート結果より~
安部 睦美岩下 智之
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 14 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

がん疼痛治療を行う上で、薬物療法は有効な治療法で、医療用麻薬はその中心的な役割を果たす。医療用麻薬を適正に使用することは医師にとってはもちろん習得しなければならないスキルであるが、薬剤師の医療用麻薬使用における役割も今後いっそう重要性を増してくるものと思われる。昨今、外来におけるがん治療患者の増加に伴い、医療用麻薬を服用する患者が増え、外来での服薬指導の必要性を感じている。今回我々は、松江市の薬剤師(主に保険調剤薬局)を対象に医療用麻薬に関する意識調査を行った。その結果、89%の薬剤師が緩和ケアは身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛の緩和を行う分野であるということを認識しており、概念的には理解されていることが明らかになった。しかし問題点として、疼痛の評価・服薬指導の不十分さ、医療用麻薬への偏見、医療用麻薬の正しい知識の習得、薬薬連携、医師との連携の必要性が浮き彫りになり、「緩和ケアの充実」に対しては、患者・家族・医療者への啓発が挙げられた。薬剤師による服薬指導は、患者がより安心してがん疼痛治療に望むことができるためには重要で、保険調剤薬局と病院薬剤師がより密に連携を取ることが必要であり、さらに処方する医師との連携も重要であると思われる。

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