松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
当院におけるNST 介入症例の検討
黒崎 和美佐藤 万里明事 典子森山 純子田村 多江
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キーワード: NST, 栄養管理, 栄養評価
ジャーナル オープンアクセス

2010 年 14 巻 1 号 p. 29-34

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抄録

当院は2005 年4 月よりNST(Nutrition Support Team)設立準備のための小委員会を発足し、翌2006 年1 月より全科型のNST 活動を行ってきた。全国的にも多くの施設がNST を有するようになってきている。当院ではNST の名称は浸透したが、活動の定着を実感するまでには至っていない。NST 活動にもかかわらず、稼動開始から2009 年3 月までの約3 年間の介入症例数は年々減少傾向にある。NST 介入症例は70~80 歳代に多く、診療科別では整形外科が最も多かった。介入理由は経口摂取不良が最も多く、次いで栄養摂取経路の変更、摂取エネルギーの検討、褥瘡、下痢などの経腸栄養のトラブル、食形態の変更であった。NST 介入効果の評価として介入前後の血清アルブミン値の変化と、介入依頼者の印象的臨床評価の二つの指標を用いてそれぞれ改善・不変・悪化で示した。血清アルブミン値での評価と依頼者における印象的臨床評価はいずれも約半数から改善の評価が得られた。介入時の血清アルブミン値の低さによって介入症例を4 段階(グループ)に分けたが、ほぼ均等な症例数に分かれた。4 グループにおける介入後の血清アルブミン値の変化を検討すると、介入時の血清アルブミン値が低いグループほど改善が多く認められる傾向にあった。しかし、依頼者の印象的臨床評価を指標とした場合は、逆に血清アルブミン値良好例に改善が多く認められる傾向にあった。この逆相関の結果についてはまだ症例数も少ないため、今後とも介入症例を重ね検証する必要があると考える。

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